対人賠償保険

対人賠償保険の過失割合の計算方法


たとえば、交通事故を起こして相手に大怪我をさせてしまい、治療費に500万円かかった場合、自分の過失割合が60%だったら、相手に補償される金額はいくらだろう?

下記のような条件として考えてみよう。

●対人賠償保険金額「無制限」

●被害者対する損害賠償責任の額「500万円」

●自賠責保険で支払われる金額「120万円」

●加害者の過失割合「60%」


対人賠償保険の補償金額は、下記のような計算式で求められるんだ。

(被害者の損害額 × 契約者の過失割合) - 自賠責保険の補償額 = 対人賠償保険金の支払い額

この式に実際に数字を当てはめていくと・・・

(500×0.6)-120=180

つまり、対人賠償保険金として支払われる賠償金額は180万円ということになるね。

ただ、実際に相手に支払われる賠償金額は、対人賠償保険金180万円+自賠責保険金120万円の、合計300万円ということになるよ。

この300万円というのが、自分の過失割合60%の金額だね。

治療費に500万円かかったけど、相手も40%は悪いわけだから残りの40%分、つまり200万円に関しては相手の自己負担ということになるわけだ。


もし自分が被害者だったとしたら、この自己負担分の200万円を負担してくれる保険として、「搭乗者障害保険」や「人身傷害保険」などがあるけど、これはまた後で説明するね。


それでは、次は「対物賠償保険」について見ていこう!


保険金額は過失割合によって大きく変わる


対人賠償保険が支払われる場合、支払われる金額は「過失割合」によって大きく変わってくるんだ。

「過失割合」っていうのは、交通事故を起こした双方の過失の度合い、つまり、どちらがどのぐらい悪いのかという割合のことだよ。

対人賠償保険で支払われる賠償金額は、自分自身の過失割合分だけが相手に支払われることになるんだ。

相手の過失割合分に関しては、相手が悪いわけだからその分は補償する必要は無い、ということだね。


過失割合は、過去の事故例などから大まかな基本割合が決められているので、それを基本に各事故に当てはめ、それぞれの過失割合を決めていくようになっているんだ。

たとえば、出会い頭での衝突、左折時に自転車を巻き込んだ、センターラインを超えての正面衝突や、その他様々な条件下での事故を、過去に起こった同じような条件の事故ケースに当てはめて、過失割合を決めていくわけだ。

実際問題、車対車の事故の場合、1人が100%悪くてもう1人の方は0%で全く悪くない、ということは殆んど無いんだよ。

では、次に実際の過失割合の計算例をみてみよう。


対人賠償保険が適用されるケース


では、実際にどういったケースで対人賠償保険が支払われるのかを見てみよう。

車を運転中に不注意で交通事故を起こし、見ず知らずの人にケガをさせてしまった場合、保険金は支払われるかな?

ケガをさせてしまった相手が「他人」なので、この場合は保険金が支払われるよ。


車庫入れをしている際に、誤って自分の子供をひいてしまい、ケガをさせてしまった場合はどうだろう?

自分の子供は、「他人」に当てはまらないので保険金は支払われない。これが他人の子供だった場合は保険が支払われるよ。


マイカーで助手席に母親を乗せてドライブしていて、電柱にぶつかる単独事故を起こし、2人ともケガをした場合は?

自分自身、母親共に「他人」に当たらないので、保険金は支払われないよ。


飲酒運転をしていて、横断歩道を歩いていた見ず知らずの人をひいてしまい、ケガをさせてしまった場合はどうだろう?

飲酒運転をしていた場合でも、ケガをさせてしまった人が「他人」であれば、保険金は支払われるんだ。この場合、見ず知らずの他人を怪我させてしまっているので、保険金が支払われるよ。


それでは、対人賠償保険は他人であればどんなケースでも全額補償されるのかというとそうではなく、「過失割合」というものによって、支払われる賠償金の額が大きく変わってくるんだ。


対人賠償保険の補償範囲


それでは、対人賠償保険に加入していればどんな人でも保障されるかといえば、そうではないんだね。

対人賠償保険で補償されるのは、あくまでも「他人」を怪我させたり、死亡させてしまった場合に限られるんだよ。

ここでいう「他人」というのは、「被保険者(保険の対象となる人)」以外の人のことで、自分以外の人という意味ではないので注意が必要だよ。


それじゃあ、被保険者にはどんな人が当てはまるのかというと、下記のような人が当てはまるよ。

【対人賠償保険の被保険者】

・記名被保険者(保険を申し込んだ契約者)
・記名被保険者の配偶者
・記名被保険者の配偶者の同居の親族
・記名被保険者、またはその配偶者の別居の未婚の子
・許諾被保険者(記名被保険者の承諾を得て車を使用または管理中の者)
・記名被保険者の使用者(雇い主)

上記に当てはまる被保険者にケガをさせてしまったり、死亡させてしまったりした場合は、対人賠償保険の支払い対象にならないので注意しておこう。


対人賠償保険とは?


対人賠償保険は、交通事故で相手に怪我をさせたり死亡させてしまった場合等に、自賠責保険の補償額を超えてしまう分が支払われる保険だね。

対人賠償保険は、任意保険の中でももっとも重要な保険と言っていいと思うよ。

たとえば、交通事故を起こして相手を死亡させてしまい、1億5千万円の賠償金を支払う必要になってしまった場合、自賠責補償額の3120万円(死亡と死亡にいたる傷害までの保険金を足した額)を超える1億1880万円が保険会社から支払われるわけだ。

自動車を運転する場合、必ず対人賠償保険には加入しておく必要があると思うんだけど、実際には約85%前後の加入率にとどまっているんだ。

つまり、公道を走っている自動車のうち、約15%前後は対人賠償保険に加入していない(未加入)車ということになる。


正直、この数字はかなり多いと思う。


万が一、対人賠償保険に未加入の15%の人が交通事故をおこし、相手を死亡させてしまったような場合は、自賠責保険限度額の3120万円までしか支払い能力がない、という可能性が高いよね。

責任を取る能力が無いのに自動車を運転するっていうのは、本来ありえないことだと思うんだけど、そういう人たちが100人中15人ぐらいいるわけだ。。


こういった無保険車と事故を起こした場合の対処として、「無保険車傷害保険」というのがあるんだけど、これはまた後で説明しよう。

とりあえず、自動車を運転するなら、対人賠償保険(それも無制限)には必ず加入するということは覚えておこう。